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 この事典は現在制作活動を行っている日本の美術家(日本画・洋画・彫刻・工芸・書)の個々の歩みを一冊にまとめることに主眼をおいて企画された事典です。
 従来の美術の年鑑類を見ますと、今の日本にはどれだけの美術家がいるかは把握できるでしょう。しかし、年鑑類に収録されています作家たち一人一人のより具体的な歩みを知ろうとするならば、個展を含めた各種展覧会のパンフレット・カタログ類や美術出版物を探さねばなりません。各人がそうした手間と時間をかけずにすむ、そして一冊で検索できる便利な本はないだろうか。そのような本なら、わたくし達が時間と労力をかけてみる価値があるのでは、といったことが本事典企画に至りますそもそもの端緒でした。
 従って本事典は、いま美術製作に携わっている作家の個別の歩みを分野別50音順に配列した《現代作家篇》が核となっています。そしてそれをカバーする意味で《物故作家篇》を付しました。もちろん作品あっての作家なのですが、作品への理解を背後から助けるべく、本事典では、あえて作品の確たる背景である作家その人に重点をおき、本文作成にあたっては、単なる経歴の記述に終始せず、各作家のストレートな声を反映しようと努めました。また殊に、美術雑誌等で全国的に紹介される機会の少ない作家をより多く収蔵できるよう配慮し、今現在活動されている作家を同一レベルで掲載することを心がけました。
 以上のような主旨のもとに、約2年間かけて1989年12月に第1号を創刊しました。その時点から、私共は、着実に歩み続けている作家を更に追い続け、創刊号をベースに新たな情報を追加・盛り込みつつ、なおかつ、その都度新たな作家を収録しながら、1991年以後は毎年3月に増補改訂版の発行を続け、新たに、ここに第27号(2016年度版)を刊行できる運びとなりました。
 日本経済の低迷が続き、とりわけ美術業界は厳しい状況を強いられていますが、作家が仕事を続ける限り、そして次々と新しい作家が生まれ出ている限り、本書に完成はないと考え、間断なく前進しようと努めております。原型はあるとはいえ、ほとんど新しいものを作り出すのと同様の膨大な作業を絶えず行わねばならぬことを自らに課し、作家の歩みと共に本事典も常に進展することを期して年刊とし、一層の充実を図っていく所存です。この事典が多様な範囲で、少しでも多くの読者に役立つよう願ってやみません。


    2016年3月


日本美術家事典